著者の一言

ビデオ編集ソフトウェアには2つの機能しかありません。ひとつは、素材の使いどころを定め、それをシークエンスに並べストーリーを紡ぐ「編集機能⁠⁠。そしてもうひとつは、その編集をラクチンに行うための「便利な機能」だ……というのが、私の持論です。

プロビデオの世界で“アビッド”の愛称で呼ばれる、Avid Media Composer には、1989年のリリース以来圧倒的な数のクリエイター達に鍛えられてきた、⁠便利な機能」がたくさんあります。本書は、その「便利な機能」をできる限り紹介することを目的に執筆しました。

私が好きなAvid Media Composer の特長は、編集環境のカスタマイズ性の高さと容易さです。例えばAvid Media Composer は、アプリケーションの全ボタンコマンドとメニューの全コマンドが、キーボードやツールのパレットに簡単に割り付け可能です。したがって、ユーザーが自分のスタイルと考えにマッチする、⁠便利な機能」をキーボードやツールに割り付ければ、自分だけの最速オペレーションタイムの編集環境が構築できるのです。

プロフェッショナルにとって、オペレーションタイムはとても重要です。オフライン編集中のディレクターは、ストーリーのひらめきが霧散する前に何通りもの可能性を試すことができますし、ポスプロのエディターは、監督の指示と同時に編集が完了するような、まるで手品のようなオペレーションが実現できるのです。

この本を手にした皆さんが、Avid Media Composer の「便利な機能」を自由奔放に駆使して、カッコ良い手際で、光るコンテンツを制作するお手伝いができたら幸いです。

(⁠⁠はじめに」より)

もとたかし

フリーランスのテクニカルライター/Avidエディター。放送業界にて編集作業に携わる傍ら,Avid製品を中心としたレビュー記事の執筆などを行う。Avid編集歴は結構長い。