わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる

[表紙]わたしが知らないスゴ本は、 きっとあなたが読んでいる

紙版発売
電子版発売

四六判/392ページ/付録48ページ

定価2,420円(本体2,200円+税10%)

ISBN 978-4-297-11153-3

電子版

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この本の概要

人生は短く,読む本は多い――「運命の一冊」をモノにする方法とは?

「本を探すな,人を探せ」
「本屋は出会い系,図書館は見合い系」
「本棚を無限にする方法」
「5万円の本を5千円で手に入れるには」
「読書本から盗んだ技術で,その読書本の論理破綻や誤読を探せ」
「ゴミみたいな“大人の教養”は捨てておこう」
「『あとで読む』はあとで読まない」

かつてない本の味わい方を名著の数々とともに伝える,日本最高峰の書評ブロガー初の著書。

【特別付録】「読書は毒書」禁断の劇薬小説+トラウマンガリスト

こんな方におすすめ

  • 本を読むすべての人

著者の一言

かつてないほど情感を震わせる一冊。
固まった頭にガツンと一撃する一冊。
目に映る世界の解像度を上げる一冊。

自分を変える凄い本は,たしかにある。読前と読後で,自分が一変してしまうような衝撃や視座をもたらすようなやつ。価値観や生活感だけでなく,ともすると人生そのものにインパクトを与える。見慣れた世界をひっくり返したり,世界の解像度が上がるような「目」を手に入れるという喜びをもたらす。読み始めたら最後,徹夜を覚悟しなければならないような,「夢中本」とも「徹夜本」とも呼ばれる一冊だ。

そんな運命の一冊となる凄い本のことを,「スゴ本」と呼ぶ。そして,(ここ重要)そんな運命の一冊は,じつは何冊でもある。

では,そんなスゴ本に,どうやって出会うのか?

気になる本をぜんぶ読んでるヒマはないし,そもそも積読山を崩してるうちに人生が終わる。すべて読まなくても,ネットの画面越しであっても,少なくとも「そんな本がある」ことを知らなければ始まらない。どうやって,知らない本を知ることができるか?

ヒントは本書のタイトルにある。

あらゆる本はすでに読まれているのだから,それを読んだ「あなた」を探そう。どんなにアンテナを振りかざしても,わたし一人の観測範囲では限界がある。だが,「あなた」を見つけ出し,「あなた」のお薦めにより,わたしの世界は拡張するのだ。

「あなた」にオススメすると,オススメ返しされる。「これはスゴ本だ,このセリフに撃たれた」とアツく語ると,「ならこれは? そこが刺さったなら,これは号泣必至やね」と,さらなる熱量をもって推してくる。競い合うように,おもしろいように,読みたい作品がどんどん出てくる。

さらに,「あなた」が何が好きでどんな人で,わたしの世界と重なるところと外れるところが見えてくる。既読本も違った解釈・観点から切り込まれ,「あなた」をダシにした別の味覚があることに気づく。この本が好きな「あなた」が好きな本を知りたい。これが,本を通じて人を知り,人を通じて本に会う極意なり。

ある「作品」なり「作家」という狭い範囲だけではない。自分の知らないジャンルをごっそり拡張する瞬間も味わえる。わたしの場合は「料理」だ。本好きは食いしん坊でもある。ブックトークに持ちよった手料理に惚れ込んで,手ほどきを受け,自分で作れるようになる。同時に,美味しさの秘密を解明する科学本や,料理と人の歴史本を読み漁るうちに,作るとは知ることであり,食べるとは生きることに気づく。

淵の深さを思い知ることもある。なんとか死なずに生きてきて,酸いも苦いも飲み下したつもりでいた。だが,人の闇を描いた本をオススメしあううち,覗き込むことすらままならない深い裂け目があることに気づく。裂け目はけっこう至近距離で,ふっと惑えばたやすく墜落するだろう。そんな,価値観を激変させるような劇薬本を,後悔すること承知で読む。

どれも,わたし独りの力では,たどりつけなかった知見であり,見つけられなかった感情だ。たいていのことは本にあるが,行き着くまでが大変だ。だから,わたしは「あなた」を探す。わたしが知らないスゴ本を,きっと読んでいる「あなた」を。

同時に,本書を手にする「あなた」のスゴ本を探すヒントを見つけてほしい。あなたが知らないスゴ本は,きっとだれかが読んでいるのだから。

著者プロフィール

Dain(ダイン)

古今東西のスゴ本(すごい本)を探しまくり,読みまくる書評ブログ「わたしが知らないスゴ本は,きっとあなたが読んでいる」の中の人。自分のアンテナだけを頼りにした閉鎖的な読書から,本を介して人とつながるスタイルへの変化と発見を,ブログに書き続けて10年以上になる。

「その本に何が書いてあるか」のような要約よりも,「それを読んで自分がどう動いたか」という具体的な感動・行動に焦点を当てて本を紹介し,愛情まみれの書評は,ときに売切れを続出させ,Amazonの紙価(古本取引価格)をべらぼうに高めたことも。たとえば,東大教師が新入生に薦める本のアンケートを過去15年3000冊を調べ上げ,そのNo.1が『カラマーゾフの兄弟』であると新潮文庫の帯文に書いたところ,学生・社会人が先を争って買い求め,累計170万部のロング&ベストセラーに至る火付け役に。あるいは,W.マクニールの『世界史』を「読むシヴィライゼーションだから徹夜を覚悟せよ」と煽ったら,Amazonのみならずリアル書店・古書店の在庫も払底させ,定価の10倍もの高値で取引されるようになった(今は増刷されているのでご安心を)。

スゴ本オフという読書会を主催。1冊の課題本を読んできて,それについて語るのではなく,テーマごとに好きな本を持ち寄って,まったり熱く紹介し,お薦めしあう。持ち寄る本のテーマは,美,冒険,お金,音楽,SF,ホラー,食とエロス,女と男,新潮文庫,学校など多岐にわたり,10年以上続けている。開催地はおもに東京だが,サンフランシスコや香港からネット経由でリモート参加していただいたり,大学の大教室を借りてやったり,高尾山でハイキングしながらのときもある。Facebookグループ「スゴ本オフ」のメンバーは1000人を超える。

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